こんにちは、かなこ(@MinmachiBuho)です。
今日はこちらの赤ちゃんグッズの是非について解説していきたいと思います。
最近は使う人も減ってきているかと思うんですが、この類の歩行器は本来、赤ちゃんの成長に百害あって一利なしです。
少なくとも、歩行を覚える練習にはなりません!!
特殊な事情がない限り、購入する必要もないと思います。 pic.twitter.com/opPsQBNZjz— なかむらかなこ@オンライン子育て相談始めました (@MinmachiBuho) January 28, 2019
そう、歩行器・ベビーウォーカーです!
以前、赤ちゃん椅子バンボについて、赤ちゃんの発達から考えたデメリットや使い方について解説しました。

バンボが赤ちゃんグッズの急先鋒なのに対して、こちらのベビーウォーカーは一時期よりは下火なのではないでしょうか。

なんとなく「使うと良くない」みたいなイメージがあるんだけど
それって本当なの?歩く練習にはならないの?

実は「歩行器」だけど歩行の練習にはまったくならないんです…
事故もたくさん報告されているよ!
巷では
- 股関節脱臼に繋がる
- 歩行獲得が遅くなる
などのデメリットが記されていることもありますが、これらは現状根拠がありません(※1、※2)
ですが、赤ちゃんの体のメカニズムや発達の仕組みを考えると、ベビーウォーカーは発達に良い影響を持っていないと考えられます。
どうしてベビーウォーカーが赤ちゃんの歩行の練習にならないばかりか、発達に悪影響を及ぼしかねないのか、その理由を解説していきますね。
つま先歩きを覚えても、あんよには繋がらない
本来人間は歩いている際に「踵から地面に足をついて、つま先で蹴る」というサイクルを繰り返しています。
一方歩くことにまだ不慣れで、足の裏の筋肉や土踏まずが発達していない赤ちゃんの場合は足の裏全体で着地するような歩き方になります。これは、あんよが安定する毎に大人の歩き方へ変わっていくものです。
ところが、ベビーウォーカーを使っている際の歩き方を良く見てみると、「つま先で着地して、つま先で蹴る」という動きを繰り返しているのが分かります(動画参照)。
これは、水の中を歩いているときのようなイメージです。ほとんど体重をかけずにつま先だけ使って前に進む。この動きを繰り返している限り、足の裏を使った本来の歩き方には繋がりません。
股関節周りの筋力が育たない
動画はコチラ
たっち、つたい歩き時期の赤ちゃんに大切なのは「股関節周りの筋力」です。
この時期の赤ちゃんはそれをちゃんとわかっているので、しきりにつかまり立ちを繰り返して”筋トレ”をしています。
このような動きの代わりにもし長時間ベビーウォーカーに乗り続けていると、適切な股関節周りの負荷がかからず筋力が育たない可能性があります。
しかもこの時期の身体のコアな部分の筋力は、成長後あんよが本格的に始まった後にも影響を及ぼすとされています。赤ちゃんにはたくさん立ちあがり・しゃがみこみの経験をさせてあげましょう。
バランス能力がアップしない

バランスっていうと、片足立ちで目をつぶって倒れないようにするやつ…?
いえいえ、赤ちゃんがたっちの姿勢をキープしたり、あんよの最初の一歩をだしたり、それらの全てバランスが重要になるんです。
赤ちゃんの歩き始めは、こうやって両手を高いところに広げていますよね。これって、私たちが綱渡りするときの姿勢と似ていませんか?
人間はバランスを一生懸命とろうとするほど、両手が曲がり、位置が高く上がります。
赤ちゃんがバランスをとるために重要なのは
- 足の裏にかかる体重
- 下半身(特に股関節)を使って倒れないように体の位置を調整する能力
です。骨盤を上から吊り上げているベビーウォーカーでは、この重要な2点の要素が減少してしまうんですね。
手押し車タイプは?
動画はコチラ
では、吊り下げるタイプでなく手で押すタイプのウォーカーはどうでしょう?
うーん、こちらは微妙なラインです。足の裏に体重もしっかりかかるし、少し前のめりの姿勢にはなりますが、股関節も比較的自由に動かせます。
ポイントとしては
- 費用対効果(このウォーカーを必要とする時期はとても短い)
- 場所があるか(家が狭い、段差が多い、収納場所がない等だと後から困ります)
- 安全性が確保できるか(結構スピードが出ます)
といったところでしょうか。
発達に何も問題がない子であれば、わざわざウォーカーを買わなくてもすぐに歩き始めます。仮にあんよが遅かったとしても、上記の理由から「歩行器を買えば歩けるようになる」とは考えにくいです。心配な場合は医療者に相談するようにしましょう。
「移動」を楽しむなら短時間に限定しよう!落下事故に注意
今までボコボコに批判してきましたが、ベビーウォーカーには良い点もあります。
それは「赤ちゃんの世界が広がる」ということです。
例えば生まれつき体に障害があり、歩くのが非常に遅い子の場合などは「自分で動く楽しみを知る、世界を広げる」という意味でリハビリの一環で歩行器をオススメすることもあります。
赤ちゃんにとって動くということはそれくらい楽しくて素晴らしいことなんです。
「家でも動く楽しみを教えたい!」
ということであれば、厳密な時間は規定されていませんが利用時間を短く留めておもちゃのひとつという位置づけで遊ぶということも良いかもしれません。
ただし、アメリカ等では転倒による骨折などの受傷例も多く報告されています(あちらでは屋外でもガンガン使ってるっぽい)。大人の目の届く範囲で、安全に配慮しながら利用するようにしてください。
<追記>
ワンオペ等で家事をするときにどうしても目が離せない!ケガ防止にもなるし、大人しく遊んでいてくれるから使ってる…
という意見も多く聞かれました。
バンボの解説時と同様に、「育児ツールは適切に使う」ことが必要です。ウォーカーの手も借りたいときは借りましょう。
注意点としては
- 必要最低限以上の時間使用しない
- 大人の目から離さない
- 転倒や転落の恐れがないか、周囲の環境を整備し、ウォーカー自体も破損がないか定期的にチェックする
等をするといいですね。
まとめ
今回はベビーウォーカーについて解説してきました!
基本的にはたっち期・ハイハイ期の赤ちゃんにとっては
- うつぶせで這う
- よじ登る
- 立ちしゃがみ
など、道具を使わない動きが非常に重要になります。このような遊びをたくさん取り入れてあげてください(^O^)
